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天声人語

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2009年12月28日(月)付

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 明治政府が雇ったドイツ人技師クニッピング。彼が英語で記した5語が、本邦初の天気予報となる。全国的に風向き天候とも定まらず、雨が降るかもしれませんと、実に大雑把なものだった▼とはいえ、画伯と呼ばれた絵師による天気図とともに、気象庁の前身の東京気象台から恭しく発表された。初期の予報は交番に張り出されたというから、「官報」の権威がしのばれる。昨今、お国が発した情報だからといって、ありがたく受け取る風潮は薄れた▼気象庁が、1955(昭和30)年から続けてきた桜の開花予想をやめるそうだ。気象情報会社や日本気象協会が独自の予想を発表しており、国の機関が手がける意味がなくなったという。いわば自発的な「事業仕分け」である▼民間も力をつけ、開花を見通す腕を上げている。ここ3年の予想と開花日のズレを全国11地点で集計したところ、気象庁の精度が最も低かったらしい。今年は全地点で外す「完敗」だった▼スポーツ紙や専門紙の競馬予想を持ち出すまでもなく、売れる情報には民間が飛びつき、競争が始まるのが常だ。天気でも時間帯や地域を限ったピンポイント予報が、小売店やイベント業者に重宝されている。より高く、より広く売るための努力は商品を磨き上げる▼余計な仕事を作りたがる役所が多い中、気象庁は潔い。「国民が一定の情報を得られる環境が整った」という担当者の弁もまともである。どうか、民の生命と財産を守る本務に励んでほしい。多少の早い遅いはあろうが、税金を使わずとも桜は咲く。

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