HTTP/1.1 200 OK Date: Sat, 26 Dec 2009 22:17:02 GMT Server: Apache/2 Accept-Ranges: bytes Content-Type: text/html Connection: close Age: 0 東京新聞:植木屋が、あるお武家で仕事中のこと。泉水の脇で穴あき銭を拾…:社説・コラム(TOKYO Web)
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【コラム】

筆洗

2009年12月26日

 植木屋が、あるお武家で仕事中のこと。泉水の脇で穴あき銭を拾った、その家の八歳になる若さまが「これは何じゃ」とお付きの者に聞く▼逆に「何だとお思いですか」と聞かれた若さまは、「丸くて四角な穴があいているから、お雛(ひな)様の刀の鍔(つば)ではないか」と答え、そこらに投げ捨てて行ってしまう。さすがご大家の若さま。お金(アシ)のことを知らないのだと、植木屋は驚くやら感心するやらで…。落語『雛鍔』のお話だ▼まさか、お札(さつ)を見て「これは何じゃ」とは聞くまいが、ちょっと、この若さまを連想させる鳩山首相である。十二億円からの大金が、しかも母親から首相側に提供されていたのに、ご本人はてんでご存じなかったのだという▼その金が献金原資の一部にもなった政治資金収支報告書虚偽記載で、元公設秘書二人が在宅、略式起訴された後の会見でも、鳩山さんはそう繰り返した。やれやれ。さすがご大家、さすが若さま▼それにしても「政治とカネ」の醜聞にしては、かなり異色である。金に貪欲(どんよく)、金に敏(さと)いからではなく、むしろ、裕福すぎて金に疎いがゆえに起きた不祥事だとは。国民は怒るというより、世間との感覚のズレにあきれている▼言ってみれば、穴あき銭一枚のことでドタバタするのが世間である。はて、その采配(さいはい)を執るのが“若さま”でいいのかしらと、そんな疑念も膨らんだに違いない。

 

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