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春秋(12/26)

 「経済学賞ではなかった。しかと肝に銘じなければ」。大統領がノーベル平和賞を受賞したとの報に、こう評した人がいた。オバマ米大統領にも通じる寸言だが、そうではない。1990年にソ連のゴルバチョフ氏が受賞した時の話だ。

▼発言の主は当時のソ連情報局長だ。民主化の追い風のなか、機知に富む寸言を連発した。圧巻はシナトラ・ドクトリン。フランク・シナトラの歌ったマイウエーをもじった。いわく。「各国は独自に進む道を選ぶ」。ソ連は昔とは違う。東欧への軍事介入はしない。東欧は自由に道を歩めばよいという趣旨だった。

▼東欧の指導者は民主革命で次々と倒れた。ソ連の変心を恨んだろうが、ゴルバチョフ氏も例外ではなかった。改革半ばの優柔不断さが災いし、政治混乱と極端な物資不足に。無念の辞任で、ソ連は18年前に消えた。そのゴルバチョフ氏が最近、鳩山由紀夫首相に「批判に耐えるのが指導者の務め」と諭したという。

▼世界の歴史に名を残した大物政治家も、理想と現実のはざまで揺れた。劣勢の首相には大きな慰みだったろうが、逆風は渦巻く。迷走のうえ閣議決定した来年度の政府予算案も、手厚い社会保障は結構だが、将来の財源は不安だらけだ。国民負担を増やさぬ解をみつけられれば、まさにノーベル経済学賞に値する。

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