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社説1 元秘書起訴で首相の責任は極めて重い(12/25)

 鳩山由紀夫首相の資金管理団体の偽装献金問題で、会計事務担当だった元公設第1秘書が政治資金規正法違反(虚偽記載)罪で在宅起訴された。元政策秘書も同法違反(違法行為への重大過失)罪で略式起訴された。首相は不起訴処分になったが、その政治責任は極めて重い。

 元秘書は、首相の資金管理団体「友愛政経懇話会」の2004〜08年の政治資金収支報告書に、首相自身や実母から提供を受けた資金計約3億6000万円を個人献金などに偽って記載していた。首相関連の別の政治団体も含めると、虚偽記載の総額は約4億円に達する。

 元秘書は首相の個人口座から5年間で約2億5000万円を引き出していたという。実母からは02年以降、総額12億6000万円の資金を受け取っていた。

 元秘書の在宅起訴を受けて記者会見した首相は「迷惑をかけたすべての皆様、国民の皆様に深くおわびしたい」と陳謝した。そのうえで「政治家としての私の使命を果たすことが私の責任だ」として辞任を否定。実母からの資金提供を贈与と認めて、02年にさかのぼり6億円を超える贈与税を納める考えも示した。

 首相は政治資金収支報告書の虚偽記載などに関し「秘書にすべて任せていた」として、自らの関与を一貫して否定してきた。東京地検特捜部にはこうした内容を盛り込んだ上申書を提出した。

 現職の首相が、事情聴取を受けたのにも等しい上申書提出に追い込まれたこと自体、極めて異例で、政治責任は免れない。実母からの巨額の資金提供を知らなかったと説明されて、有権者は信じるだろうか。贈与税を払えば済むという話でもない。

 元秘書は故人の名前を使って献金を偽装したり、寄付者の名前を出す必要のない5万円以下の小口献金に分散したりしていた。政治活動の「公明と公正を確保」するとした政治資金規正法の理念に反する。

 首相は野党時代に「秘書の罪は国会議員の罪だ」と主張していた。自民党の加藤紘一元幹事長の元事務所代表の脱税事件の際は「即、議員辞職すべきだ」と迫ったこともある。

 首相は過去の自らの発言との整合性について「今回の件では私腹を肥やしたり、不正の利得を得たという思いは一切ない」などと苦しい弁明に追われた。

 今回の事件は首相の資質への疑念を強め、指導者としての信頼感を失墜させかねないものだ。くしくも政権発足100日目の元秘書の起訴は、首相に大きな打撃を与えた。

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