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社説2 診療報酬の「配分改革」を急げ(12/25)

 2010年度の診療報酬改定は全体の上げ幅を0.19%とすることで長妻昭厚生労働相、藤井裕久財務相らが合意した。予算案の段階で診療報酬を増やすのは10年ぶりだ。

 病院などの一部の診療科で目立つ医師や看護師らの過酷な勤務を和らげたり、救急医療を充実させたりするために、限りある医療財源を効率的に配分する改革を急ぐべきだ。

 診療報酬は原則、隔年で改定している。医師の技術料など「本体」と「薬価・医療材料価格」を合わせた全体の改定率は、自公政権のもとで02年度からマイナスを続けてきた。また06年の骨太の方針では、国の社会保障予算の伸びを5年間に計1兆1000億円圧縮すると決めるなど医療界には逆風が吹いていた。

 民主党は総選挙のマニフェスト(政権公約)で、旧政権のこうした政策を覆すと表明した。小沢一郎幹事長らは予算の重点要望で引き上げを唱えた。財務省などはマイナス改定を続けたうえで診療科別の配分を見直すよう求めたが、最後は小幅の増額改定で政治決着した。

 本体の上げ幅は1.55%。内訳は医科が1.74%で、入院を3.03%、外来は0.31%上げる。小沢氏が重点要望で言及した歯科は2.09%と比較的、大きな上げ幅とする。

 薬価・医療材料価格は1.36%下げる。特許期間が切れ後発品(ジェネリック)が登場しても高止まりする傾向がある新薬の価格などを下げることになろう。その分を本体増額の原資に回すのは的を射ている。

 厚生労働省の試算によると、今回の改定で医療費は年700億円、うち国の負担は160億円増える。長寿化の進展や新しい医療技術の登場など医療費を今後さらに押し上げる要因は多い。急性期の入院医療や救急医療などを充実させるには、一部の診療報酬を抑え、その分を必要な分野に回す改革が欠かせない。

 具体策は年明けから厚労相の諮問機関、中央社会保険医療協議会で詰める。その審議をインターネットで音声中継する案が医師を代表する一部委員の反対で宙に浮いている。医療費は、医師だけでなく、患者や保険料・税金を払う国民、企業が広くかかわる問題であり、ネット中継による開かれた議論を実現すべきだ。

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