鳩山首相にあだ名をつけるとしたら、どんな呼び名がぴったりか。最近あるテレビ番組でこの話題が出た。出演者の一人で、アニメや漫画にも詳しい経済評論家が答えたのは「エヴァンゲリオンのシンジ君」。思わずぷっと噴き出した。
▼エヴァンゲリオンは10年余り前に登場したSFアニメだ。少年少女が人類の敵と戦う話で、シンジ君はその主人公だが、気は優しくて、行動はぶれがち。強権的な司令官にびくびくし、自分の存在意義に悩み続ける。ヒーローらしからぬところが当時はかえって共感を呼び、女性ファンの目にはカワイイと映った。
▼首相の資金管理団体の偽装献金問題で元秘書がきのう在宅起訴された。昨夜は首相自ら記者会見し、国民への説明を試みた。苦しくとも職は投げ出さない、逃げてはいかんという。ちょっと頼りなげなシンジ君も初めての戦闘に臨んで「逃げちゃダメだ」と繰り返し、必死に自分を鼓舞した。確かに印象がダブる。
▼普天間から予算まで、ぶれる姿が日々国民の目に映る。期待が失望に転じては首相も不本意だろう。今年公開された新作では、シンジ君が果敢に決断する男に一皮むけ、昔のファンも喝采した。難題山積、立ち止まるのは許されないと語る首相は、アニメ好きでもあるらしい。映画を見たら変身へ勇気がわくかも。