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エズラ・ボーゲル氏といえば『ジャパン・アズ・ナンバーワン』の著者で知られる米国の学者である。知日派で中国通の氏がかつて、次のように言っていたと、職場の先輩の松山幸雄さんの近著『鳩山から鳩山へ』(朝日新聞出版)に教わった▼「中国には方策があって対策がない。日本には対策があって方策がない」と。日本人は「次の株主総会」といった目先の対策は得意だが、長期戦略を立てるのは下手だという指摘だった。民族性だろうか、それは今の民主党政権にもそのまま当てはまる▼賛否はあっても、それぞれの政策には存在感がある。ジグソーパズルでいえば一枚ずつの小片である。だが全体の絵が見えてこない。めざす「国のかたち」が曖昧(あいまい)では霧の中に置かれた羊のように国民は不安になる▼鳴り物入りの「国家戦略室」は鳴かず飛ばず。代わって霧の中からぬっと現れたのは、「次の参院選」という目先の対策に熱心な小沢幹事長の剛腕だった。そしていま、支持率の砂時計がさらさら落ちゆく100日目の鳩山内閣である▼恋愛のことを、作家の亀井勝一郎が「美しい誤解」と言っている。そして結婚生活を「恋愛が美しき誤解であったということへの、惨憺(さんたん)たる理解」だと辛辣(しんらつ)に定義した。首相との蜜月もそろそろ過ぎて、国民の胸の内はそう傾きつつあるのだろうか▼俗に、3カ月の蜜月に続くのは3年の喧嘩(けんか)、30年の我慢、などと言う。実のある喧嘩なら悪くはない。だがそれも、ときに憎まれ役たることを、首相が毅然(きぜん)と引き受けた上での話になる。