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12月23日付 編集手帳

乙武洋匡(おとたけひろただ)さんが両腕と両脚のない先天性四肢切断の障害をもって生まれたとき、周囲は母子の対面を見合わせた。母親が取り乱し、泣きわめき、倒れるかも知れないと◆1か月して対面の時が訪れる。わが子を見るや、母親は言った。「かわいい」。乙武さんが著書「五体不満足」(講談社)に書いている。〈生後一か月、ようやくボクは「誕生」した〉◆その一節を読んで聞かせたい人がいる。「高度医療のおかげで以前は自然に淘汰(とうた)された機能障害を持ったのを生き残らせている」。自身のブログでそう語った鹿児島県阿久根市の竹原信一市長(50)が、今度は講演で物議を醸したという◆いわく、「木の枝の先が腐れば切り落とし、全体として活力のある状態にする」。いわく、「社会をつくるには命の部分に踏み込まないと駄目だ。刈り込む作業をしないと全体が死ぬ」◆竹原氏は自身に向けられた批判を、「言葉狩りだ」と逆に批判している。持論を語る自由は誰にもあるから、障害者に振りかざす言葉の(むち)を力ずくで奪いはしない。障害者やその家族と一緒に血を流し、笞をもつその人を(あわ)れむのみである。

2009年12月23日01時48分  読売新聞)
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