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春秋(12/23)

 雪の降りしきる北陸は富山市の大通りで、真新しいレールに出合った。この街にきょう開業する路面電車「セントラム」の軌道だ。城跡を囲んで市内をぐるりと回る環状線を走るのは3台の新鋭車両。ピカピカの電停が客を待っている。

▼クルマ社会のなかで邪魔もの扱いされ、いったんは廃止された線路を敷き直しての復権である。全国でも異例の試みを後押ししたのは時代の風だろう。中心市街地ににぎわいを取り戻したい。お年寄りが気軽に出歩ける街にしたい。そんな思いに加えて地球温暖化への危機感が、じつに36年ぶりの再登板を促した。

▼ガソリン税の暫定税率分を「環境税」に衣替えする道筋が見えてきたのも、エコ意識の高まりゆえのことに違いない。公約だからと減税ばかりを唱えてきた鳩山首相は恐縮しきりのようだが、情理を尽くせば分かってもらえる話だ。道路づくりにひたすら流し込まれてきた税金の、花も実もある再生になればいい。

▼暫定、暫定といいながら道路のためのガソリン税の上乗せは1974年からずっと続いてきた。同じころに富山市では、きょう復活する路面電車のレールが姿を消している。思えば、クルマに頼りきって温暖化などに考えも及ばなかった一時代ではないか。地方都市のささやかな挑戦に世の変化が重なって見える。

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