HTTP/1.1 200 OK Date: Tue, 22 Dec 2009 02:17:02 GMT Server: Apache/2 Accept-Ranges: bytes Content-Type: text/html Connection: close Age: 0 東京新聞:イラク油田 『復興』を助ける開発に:社説・コラム(TOKYO Web)
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【社説】

イラク油田 『復興』を助ける開発に

2009年12月22日

 イラクでの油田開発権を日本の企業が初めて落札した。国内需要の5%に相当し、エネルギー安定調達への朗報だ。テロの絶えぬ政情が不安だが、油田開発をイラクの復興支援につなげたい。

 落札したのは、石油開発公団から分離した原油、天然ガスの開発会社「石油資源開発」。イラクで行われた国際入札で、南部ガラフ油田の開発権をマレーシア国営企業とともに落札した。豊富なイラク油田への日本として初の開発参入で、喜ばしい限りだ。

 同油田の埋蔵量は、日本の年間原油輸入量(十四億バレル)の六割弱に当たる約八億六千万バレル。開発比率は日本40%、マレーシア60%。二十年の長期契約で、日本は日量最大二十三万バレルの生産を目指し、生産一バレル当たり一・四九ドル分の現金か原油を受け取ることになる。日本の海外での油田開発事業で最大規模であり、エネルギーの安全確保、供給に大きく寄与する。

 イラクは原油埋蔵量が千百五十億バレルで世界第三位を誇るが、イラク戦争で開発はストップ。イラク政府が今年六月末、四十年ぶりの国際入札を実施した。英国と中国の企業が最大規模の南部ルメイラ油田を落札。今回の二次入札で英国、オランダ、ロシアなどに続き、日本が落札に成功した。

 イラクでの油田開発をめぐっては、欧米メジャーのほか中国、インドなど新興国の攻勢が強まっている。日本の場合、入札とは別枠で新日本石油などが南部ナシリヤ油田の開発で八月末、イラク政府と原則合意している。今後も後れを取らない情報収集と粘り強い獲得交渉が求められる。

 日本はアラブ首長国連邦や東南アジアなどでも油田開発をしているが、サウジアラビアとクウェート国境のカフジ油田の権益を二〇〇三年に失ったほか、イランのアザデガン油田も操業をやめている。日本の自主開発原油の比率は16%にまで落ちている。

 懸念はやはり政情が不安定なことだ。今回入札を果たしたガラフ油田は、イスラム教シーア派が多く居住する地域で、宗派抗争が起きない保証はない。

 今後日々膨大に入ってくるだろう石油収入はイラク復興の大きなかぎとなる。戦争で破壊されたインフラを再建し、医療や教育のソフト面も支えるだろう。それが政治安定化への道であり、日本も油田開発を通じて現地への技術普及などを進め、復興と安定化へ向けて大いに貢献したいものだ。

 

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