HTTP/1.1 200 OK Date: Tue, 22 Dec 2009 00:15:57 GMT Server: Apache/2 Accept-Ranges: bytes Content-Type: text/html Connection: close Age: 0 東京新聞:日本年金機構 お客様第一の心構えで:社説・コラム(TOKYO Web)
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【社説】

日本年金機構 お客様第一の心構えで

2009年12月22日

 厚生労働省の外局・社会保険庁が今月末で廃止され、新年から非公務員型の特殊法人「日本年金機構」が業務を引き継ぐ。一般国民の目線でサービスに努め、信頼回復に努めてもらいたい。

 社保庁ほど国民の批判にさらされた行政組織は近年なかった。

 民間人の老後を支える厚生年金、国民年金の厳正な管理を任されていたのにもかかわらず、年金記録ののぞき見、国民年金保険料の不正免除、「消えた年金」「宙に浮いた年金」に代表される年金記録不備問題など不祥事が後を絶たなかった。

 国民から遊離し、完全に信頼を失った社保庁は解体されるべくして解体されるといってもいい。

 「機構」では、社保庁からの職員の横滑りを厳しく制限した。

 現在の社保庁職員一万三千人ののうち、機構に正規採用されるのは一万人弱。年金記録のぞき見などで処分歴のある職員は正規雇用されず、有期雇用、勧奨退職、分限免職などを迫られる。

 過去の経緯を振り返るならば、荒療治はやむを得ないだろう。

 本省から出向のキャリア職員、社保庁採用、地方採用の人事の「三層構造」が無責任体制を招いたとの反省から、機構では正規職員は本部で一括採用としたうえ、すべて全国異動を行うほか、民間から千人規模で採用する。

 風通しがよくなり、新しい血が入る中で、お互いに切磋琢磨(せっさたくま)し、従来の親方日の丸の組織風土を一掃する必要がある。

 機構に求められるのは、年金受給の申請、給付、年金定期便の通知などを行う機関として、信頼できる存在に生まれ変わることだ。

 「運営理念」に掲げているように「親切・迅速・正確で効率的サービスの提供」に徹しなければならない。こうした当たり前のことさえ社保庁ではできなかった。

 公的年金の管理は、国民の年金保険料を預かり、適正に給付していく重要なサービスであることを片時も忘れてはならない。

 機構は社保庁にはない試みとして理事長へのメールや手紙を恒常的に受け付ける。真摯(しんし)に対応し業務改善に生かすべきだ。

 作業が急がれるのは、記録不備問題の解決だ。五千百万件あった基礎年金番号への未統合記録のうち二千九百万件は統合などの作業が済んだが、作業中を含めまだ二千二百万件が未統合だ。機構になっても引き続き作業に全力を挙げ、低・無年金で泣く国民を一人でも救済しなければならない。

 

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