HTTP/1.0 200 OK Age: 8 Accept-Ranges: bytes Date: Mon, 21 Dec 2009 23:21:24 GMT Content-Length: 8365 Content-Type: text/html Connection: keep-alive Proxy-Connection: keep-alive Server: Zeus/4.3 Last-Modified: Mon, 21 Dec 2009 14:18:22 GMT NIKKEI NET(日経ネット):社説・春秋−日本経済新聞の社説、1面コラムの春秋

音声ブラウザ専用。こちらより記事見出しへ移動可能です。クリック。

音声ブラウザ専用。こちらより検索フォームへ移動可能です。クリック。

NIKKEI NET

社説2 所得制限なき手当は危うい(12/22)

 2010年度の予算編成に関連して、鳩山由紀夫首相が子ども手当には所得制限を取り入れないと表明した。しっかりとした制度設計を怠ったまま衆院選のマニフェスト(政権公約)を守るという観点からの判断にみえる。所得制限なしで支給を始めるのは、制度の持続性を損なう危険が高い。

 子ども手当は中学生までの子供がいる世帯に初年度は1人について月額1万3000円を配る。これには約2兆3000億円が必要になる。11年度からは支給額を2倍にする計画だ。財源をきちんと確保する見通しを立てられない状況を考えると、一定以上の所得を得ている世帯への支給をやめたり、額を減らしたりする工夫があって当然だった。

 そもそも、これだけの大きな制度を始めるには財源の裏付けをともなう制度設計が不可欠だ。にもかかわらず、政権が発足してからの3カ月の間、政府は基本的な考え方を明確にしてこなかった。予算案の決定間際になって所得制限をしないと決めたのはあまりにも場当たり的だ。

 民主党の小沢一郎幹事長が所得制限を政府に求めたのは、制度の持続性を高めるとともに、貴重な財源を保育所の整備などにも有効に使ってもらうためだったのではないのか。

 一方、揮発油税の暫定税率について首相は、仕組みはいったん廃止するが税率は維持すると表明し、民主党の重点要望に沿った判断をした。国と地方自治体を合わせて計2兆5000億円の減収を避けるのは、税収の著しい不振を考えると妥当な決定といえるだろう。

 民主党は暫定税率の廃止をマニフェストの目玉にしている。これについて私たちは、暫定税率の廃止は地球温暖化を防ぐための「環境税」の導入と併せて実施すべきだと主張してきた。ガソリンの消費を喚起する減税策の先行は財政悪化に直結するし、温暖化防止にも逆行する。

 政府は形式的に暫定税率を廃止して代わりに新税を設けて税収の水準を維持するという。これは環境税を導入するまでのつなぎという位置付けだ。税負担が増える家計や経済界との調整が課題になるが、中長期で温暖化の防止につながる税制を着実に設計すべきである。

社説・春秋記事一覧