HTTP/1.0 200 OK Server: Apache Content-Length: 60072 Content-Type: text/html ETag: "ff895-15cf-7c69e440" Expires: Mon, 21 Dec 2009 03:21:05 GMT Cache-Control: max-age=0, no-cache Pragma: no-cache Date: Mon, 21 Dec 2009 03:21:05 GMT Connection: close ドバイショック 危機の拡大は回避したが : 社説・コラム : YOMIURI ONLINE(読売新聞)



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ドバイショック 危機の拡大は回避したが(12月21日付・読売社説)

 世界的な金融危機への拡大は、なんとか回避した。しかし、新興国への投資リスクを浮き彫りにしたといえよう。

 アラブ首長国連邦(UAE)・ドバイの政府系企業の経営危機のことだ。

 世界中から投資資金を調達し、巨大な開発プロジェクトを進めた。しかし、バブル崩壊で資金調達が難しくなり、11月末に債務の返済延期を金融機関に求めた。

 この問題が引き金になり、一時、ドル安が加速し、株価も乱高下するドバイショックが世界の金融市場に起きた。このため、同じUAEのアブダビが、100億ドル(約8900億円)の金融支援を決め、事態をひとまず沈静化させた。

 ドバイの債務が不履行になれば、市場が再び大混乱しかねなかった。アブダビが支援を決断したのは、適切な判断だった。

 ただ、ドバイが求めた返済延期の総額は260億ドルに上り、アブダビの支援額では足りない。ドバイ全体では、約800億ドルの債務を抱えているとされ、返済の見通しは不透明だ。

 海を埋め立てて、ヤシの木の形をした巨大な人工リゾート島などを造るドバイ型の開発モデルは、もはや過去のものだ。政府系企業は、大胆なリストラを実施するなど、抜本的な再建が急務だ。アブダビの支援継続も求められる。

 UAE向けの融資は、英仏など欧州の金融機関が突出していた。融資国側も、新興国の甘い開発プロジェクトに対する投資リスクを再認識する必要がある。

 懸念されるのは、「第二のドバイはどこか」という疑心暗鬼が、市場にくすぶっていることだ。

 欧州では、深刻な財政危機に陥ったギリシャが焦点だ。財政赤字はユーロ圏で最悪で、国債の格付けが引き下げられた。ギリシャ政府は財政再建に乗り出したが、前途は多難だ。スペイン、ポルトガルなどの財政も悪化している。

 通貨ユーロがドルなどの主要通貨に対して下落しているのは、借金に依存したユーロ圏の国々の信用不安に、市場が神経質になっていることを示している。

 昨秋以来の世界的な金融危機は最悪期を脱し、米国では、シティグループなどの大手金融機関6社すべてが、公的資金を返済するメドをつけた。

 しかし、米欧の不動産価格の下落が続き、金融機関の経営環境は依然として厳しい。金融不安の火種は消えていないだけに、今後も国際連携を強め、金融の安定を目指すことが肝要である。

2009年12月21日00時18分  読売新聞)
東京本社発行の最終版から掲載しています。
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