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社説2 「手当」に意味ある所得制限を(12/21)

 民主党の来年度予算への重点要望を受け、子ども手当に所得制限を設ける方向で政府内の検討が始まった。少子化を克服するには社会全体で子育てを支援する必要があるが、財源とのバランスを考えれば、所得制限を設けるのが妥当である。

 子ども手当の導入では、財源の裏付けがある合理的で持続可能な制度か、手当だけでなく親の仕事と育児の両立を支援するための財源もきちんと確保できるのか、が問われる。

 少子化対策はこの2つを総合的に進めてこそ効果がある。手当に巨額の予算を注ぎ込むだけでは持続的な少子化対策にならない。

 認可保育所に入れない待機児童が増え、学童保育の不足も深刻だ。親が安心して働き続けられるよう保育所や学童保育関連の充実に意味がある規模の予算を回す必要がある。

 年収2千万円を上限とする所得制限案も政府内に出ているが、これでは手当の対象から外れる世帯は1%にも満たず、削減できる金額も数十億円にとどまる。「金持ちにまで手当を配る必要はない」との批判をかわすだけの意味のない制限だ。

 民主党は税制改革の一環として税・社会保障共通の番号制度の導入を目指している。現状ではサラリーマンと自営業者で収入の捕捉率が違う不公平も指摘される。番号制度ができれば、より透明な所得制限が可能になり、年収に応じて支給額を変えるといった調整も容易になろう。

 現行の児童手当には所得制限がある。夫婦と子ども2人で、自営業者などは年収780万円未満、サラリーマンの場合は年収860万円未満を支給対象にしている。

 子ども手当は中学卒業まですべての子どもを対象に月2万6千円を配るというもので、初年度の支給額は半分の1万3千円だ。支給窓口となる地方の事務負担などを考えれば、来年度は暫定的に児童手当の所得制限をそのまま続けるのも一案だ。地方は児童手当の財源として2009年度予算で5680億円を負担している。この財源はそのまま子ども手当に回してもいいのではないか。

 目指すべきは持続可能な制度設計と総合的な少子化対策である。そうした観点で、子ども手当の仕組みや支給対象について考えるべきだ。

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