HTTP/1.0 200 OK Server: Apache Content-Length: 60593 Content-Type: text/html ETag: "15c5e0-160c-f43d5600" Expires: Sun, 20 Dec 2009 00:21:10 GMT Cache-Control: max-age=0, no-cache Pragma: no-cache Date: Sun, 20 Dec 2009 00:21:10 GMT Connection: close 地方分権改革 新政権でも根強い府省の抵抗 : 社説・コラム : YOMIURI ONLINE(読売新聞)



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地方分権改革 新政権でも根強い府省の抵抗(12月20日付・読売社説)

 民主党政権でも依然、地方分権に対する関係府省の抵抗が根強いことが浮き彫りになった。

 政府は、国が法令で自治体の仕事を縛る「義務付け・枠付け」などを見直す地方分権改革推進計画を決定した。

 地方が要望していた104条項のうち、見直しが実現したのは36条項にとどまった。34の条項は一部が見直しされるが、残りは府省が拒否した。

 国民の関心が高い保育所の設置基準は、部分的に自治体の条例で見直しが可能となったが、職員配置基準は現行通りとされた。

 政府は、関係府省の1次回答の後、副大臣級の折衝で見直し条項の積み上げを目指したが、鳩山首相が指導力を発揮する場面はなかった。「自民党政権時代よりは前進」との見方もあるものの、大きな成果とは言えない。

 今後は、民主党が「原則廃止」を掲げる国の出先機関の見直しなど、関係府省の抵抗がより強い難題が控えている。鳩山政権が大胆な分権案をまとめることができるか、懸念せざるを得ない。

 鳩山首相が議長を務める「地域主権戦略会議」の初会合には、分権改革の工程表案が示された。

 来年夏までを第1段階と位置づけ、義務付けの見直しや「国と地方の協議の場」の法制化を図る。2013年夏までの第2段階では、出先機関の見直しや、国から地方への権限・予算・職員の移譲に取り組むという。

 工程表を通じて課題を整理し、全体像を示すのは良いが、第2段階が4年後まででは長すぎないか。よりスピード感を重視した工程表に作り変えるべきだ。

 出先機関の見直しなどでは既に政府の地方分権改革推進委員会が詳細な勧告を出している。

 政権交代を理由に、すべてを白紙に戻すのでは、効率が悪い。分権委の議論の成果を活用しつつ、さらに地方に移管する権限や事務を積み増す発想が重要だ。

 民主党は「地域主権国家を目指す」などと、「地域主権」を盛んにアピールしている。

 「地域のことは地域が決める」「国の権限や財源を地方に大胆に移譲する」といった「地域主権」の理念は、地方分権と共通しており、方向性は間違っていない。

 だが、この「地域主権」には、国家主権に対立する概念のような語感がある。憲法を改正して、国の統治権を地方に移譲し、連邦制に移行するかのような誤解を与えかねない。「主権」という言葉を(もてあそ)ぶべきではあるまい。

2009年12月20日01時00分  読売新聞)
東京本社発行の最終版から掲載しています。
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