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COP15 懸案先送りで決裂を回避した(12月20日付・読売社説)

 決裂を回避できたことが、国連気候変動枠組み条約の第15回締約国会議(COP15)が残した唯一の成果といえよう。

 COP15は主要国がまとめた政治合意文書である「コペンハーゲン合意」を承認した。

 文書は、先進国と新興国・途上国の間で利害が相反する部分をそぎ落としており、乏しい内容が根深い対立を反映している。京都議定書に次ぐ2013年以降の枠組みをどうするか、という最重要懸案は先送りとなった。

 10日間余の会議は、新興国と途上国のペースで進んだ。特に中国やインドなどが京都議定書を13年以降も延長する案を強硬に主張し、先進国は振り回された。

 京都議定書で、温室効果ガスの排出削減を義務付けられているのは先進国だけだ。新興国・途上国にとって、京都議定書は、非常に好都合な枠組みである。

 日本や欧州連合(EU)は、新興国・途上国をも含めた新たな枠組みが必要だと主張してきた。中国が世界一の排出国になったことなどを考えれば、当然だ。

 米国は京都議定書から離脱しており、仮に延長されても影響は及ばない。こうした欠陥だらけの枠組みである京都議定書が今回は延長されなかったことが、日本にとっての救いである。

 日本政府は、今後も延長に反対する姿勢を崩してはならない。

 鳩山首相は、「20年までに1990年比で25%削減」という日本としての中期目標を掲げてCOP15に臨んだ。極めて高い目標の提示で、他国に削減目標の引き上げを促す戦略だった。

 しかし、首相が、「他の国々が必ずしも大胆な目標を提示してくれない状況だ」と語るほど、交渉は厳しく、首相の見通しの甘さが露呈した。

 交渉が進展したのは、日本や米国が新興国・途上国向けの資金支援策を表明してからだ。新興国・途上国は、先進国からの支援という実利によって動くという現実が如実に示された。

 合意には、「先進国は20年の削減目標を来年1月31日までに合意の別表に記載する」という内容が盛り込まれた。この数値が次期枠組みで各国が負う削減義務となる可能性が高い。

 日本が不利な削減義務を負った京都議定書を教訓に、次期枠組みは、公平なものにしなくてはならない。米国などより大幅に厳しい「90年比25%減」を記載するのか。日本政府が難しい判断を迫られるのは、これからである。

2009年12月20日01時02分  読売新聞)
東京本社発行の最終版から掲載しています。
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