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社説1 日銀はデフレ阻止の決意を行動へ(12/19)

 日銀は18日、「消費者物価の下落を許容していない」という認識を示した。物価が継続的に下がるデフレを阻止する決意を鮮明にした。デフレ脱却を目指す点で政府と日銀が足並みをそろえたことは、歓迎したい。景気の二番底防止と新たな成長に向けた経済運営につなげてほしい。

 日銀は目標とする中長期的な物価安定について「消費者物価が0〜2%程度の範囲にあり、中心値は1%程度」との考えを示してきた。ところが、足元の物価は前年比2%強の下落が続き、景気悪化と物価下落が悪循環を起こす恐れが出ていた。

 こうした危険を踏まえ「物価がゼロ%以下のマイナスの値は許容していない」との考えを明確に示した。「日銀はある程度の物価下落は受け入れているといった誤解を解き、金融緩和の政策意図を浸透させたい」と白川方明総裁は述べた。

 政府はすでに11月20日に緩やかなデフレとの認識を示している。日銀が「デフレを許容しない」との考えを鮮明にしたのは、よいことだ。

 日銀は2001年に金融の量的緩和に踏み切った際、消費者物価が前年比プラスになるまで緩和を続けると約束した。日銀がいきなり金融緩和をやめることはないと市場参加者を安心させ、政策の効果を浸透させようとしたもので「時間軸」効果と呼ばれた。

 18日の決定は一見すると「時間軸」政策の復活ともとれるが、白川総裁はそうした見方を否定した。06年に量的緩和をやめる際に、足元の消費者物価がプラスになるかどうかだけが焦点になり、機動的な政策運営ができなかった。そうした事態を繰り返したくないのだろう。

 物価にだけ的を絞ると、資産価格の行き過ぎた上昇や過度の信用膨張を招きかねないとして、総合的な目配りの必要があるとも、日銀は強調している。米国などでは物価安定の下で金融が緩みがちとなり、リーマン・ショックをもたらしたことへの反省があるという。

 確かに総合判断は重要であるものの、日本経済が直面する差し迫ったリスクはデフレである。日銀自身、このところの物価下落が企業や家計の中長期的な期待インフレ率を下振れさせる懸念を認めている。

 そうであるなら、デフレの認識を示すだけではなく、脱却のための行動を忘れるべきでない。日銀はすでに0.1%の低利で期間3カ月の長めの資金を供給する仕組みを打ち出したが、景気がさらに下振れする恐れが強まるようなら、追加的な金融緩和に踏み切るべきだろう。

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