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春秋(12/20)

 温暖化対策の国際会議でデンマークは議長国として力不足だったものの、開催地にはふさわしかった。19世紀後半、森林を3倍に増やした歴史がある。必ずしも環境の保全が狙いではなかったが、温暖化ガスをさぞ吸収したことだろう。

▼内村鑑三が「デンマルク国の話」のなかで、大がかりな植林を紹介している。現在のドイツなどとの戦争に敗れてから、ダルガスという士官が中心になり、経済復興策としてモミの木を植える運動に取り組んだ。木材の生産を伸ばしたほか、緑の野が広がったことで気候が変わり、収穫できる作物の種類も増えた。

▼ダルガス自身がどこまで植林の波及効果を見通していたかは定かでないが、デンマークは国の富を着実に蓄え、鉄道や道路網も発達した。植林によって、敗戦からみごとに立ち直ったといわれている。人間をとりまく環境を変えることは、国の改造につながる。そこには昔から、経済を元気にする力があるらしい。

▼温暖化ガス削減の新しい国際枠組みづくりは先送りされた。しかし、日本は米国や中国などの参加を前提にした高い排出削減目標の追求をやめるべきではない。地質学者で植物学者でもあったダルガスは、植林に適した樹木の研究に膨大な時間を費やした。日本も低炭素社会を実現するための作戦を立てるときだ。

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