HTTP/1.0 200 OK Server: Apache/2 Content-Length: 17936 Content-Type: text/html ETag: "3933a0-4610-14c0240" Cache-Control: max-age=5 Expires: Sat, 19 Dec 2009 22:21:10 GMT Date: Sat, 19 Dec 2009 22:21:05 GMT Connection: close
アサヒ・コム プレミアムなら過去の朝日新聞天声人語が最大3か月分ご覧になれます。(詳しくはこちら)
昭和も半ばまで、女の子は大抵「○子」だった。この習いを破ったのが明美である。明治安田生命によると、1957(昭和32)年生まれで10傑に入り、65年に首位となった。真由美、由美、直美が続き、「○美」がひと時代を築く▼名は世に連れ、世は名に連れ。73年に千昌夫さんが歌った「アケミという名で十八で」(西沢爽作詞、遠藤実作曲)の女性も、明美が広まる頃の生まれとなる。以後、愛や美咲の天下を経て、ここ10年ほどは百花繚乱(りょうらん)だ▼ベネッセコーポレーションが09年生まれの名を調べたところ、女の子は凛(りん)、さくら、陽菜(ひな)。男の子は大翔(ひろと)、翔太、蓮(れん)の順だった。男児は元気、女児は優しさを願っての命名が多いという▼目新しい名前も、秀作であれば盛んに使われて普通になる。わが子を同世代に埋没させまいというのか、七音(どれみ)、一二三(わるつ)、騎士(ないと)など、謎かけのような工夫が話題を呼んだこともあった。思いがこもり、個性的かつ簡明な一つを選ぶのは楽ではない▼東京で見た声欄に、埼玉県の森まりもさん(17)の投書があった。逆から読んでも「もりまりも」で、小学生時代は面白がられたそうだ。母親に尋ねたら「回文を狙っていた」とのこと。今は愛着がわき、自己紹介でも触れるが、名づけは背負う子のことも考えてと訴える▼まりもさんの言う通り、姓は変わっても名は一生だ。後々、持ち主に笑顔で説明できる作でありたい。それを笑顔で聞ければ、すなわち良い名前ということだろう。親心が並ぶランキングを眺めながら、どの子にも幸あれと願う。