HTTP/1.0 200 OK Server: Apache Content-Length: 59756 Content-Type: text/html ETag: "391ed2-15a9-1e5751c0" Expires: Fri, 18 Dec 2009 21:21:08 GMT Cache-Control: max-age=0, no-cache Pragma: no-cache Date: Fri, 18 Dec 2009 21:21:08 GMT Connection: close イラン核増設 なぜ国際的な孤立を選ぶのか : 社説・コラム : YOMIURI ONLINE(読売新聞)



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イラン核増設 なぜ国際的な孤立を選ぶのか(12月19日付・読売社説)

 熟慮せずに反発すれば取り返しのつかない事態を招くことがある。イランはそれを肝に銘じるべきだろう。

 イラン政府は、新たに国内10か所にウラン濃縮施設を建設するという。うち5施設について、サレヒ副大統領兼原子力庁長官は、「2〜3か月以内に着工する」と語った。

 国際社会が濃縮停止を求めているにもかかわらず、である。

 それだけではない。低濃縮ウランを国外で燃料化する計画を、拒否する姿勢も示している。

 計画が履行されれば、イラン国内のウラン備蓄量が減り、軍事転用に歯止めがかかる。オバマ米大統領は「信頼醸成の一歩」になると期待していた。

 イランが挑戦的な態度に出たのは、建設中の国内2番目の濃縮施設に対して、国際原子力機関(IAEA)が即時建設中止を求める決議を採択した直後だった。

 専門家によれば、イランには10施設も増設する技術も部品もないという。増設を公言したのは単なる意趣返しの性格が強い。

 オバマ政権はすでに、「イランは孤立の道を選んだ」として、来年1月上旬にも、ガソリンの禁輸など対イラン追加制裁を実現するため、国連安全保障理事会のメンバーに働きかけている。追加制裁は当然の選択だろう。

 制裁はこれまで、ロシアや中国の消極姿勢で実効性を欠くものになりがちだった。だが、ロシアは今、米国がミサイル防衛システムの東欧配備を中止したことを評価し、対イラン制裁で米国と共同歩調を取り始めている。

 イランは、イスラエル軍などによる核施設への攻撃を防ぐため、ロシア製迎撃ミサイルの購入を進めているが、ロシアは引き渡しに応じていない。

 イランは産油国だが、精製能力の欠如から、ガソリンの一部を輸入に頼っている。ガソリンの禁輸は国民の生活を直撃する。

 今年6月の大統領選の結果に対し、国民の異議申し立ては今も続いている。テヘランでは最近、学生ら数千人がデモを繰り広げ、最高指導者批判も辞さなかった。

 制裁が強化されれば、国民の不満は、1979年のイスラム革命で成立した現体制の打倒へと向かいかねない。

 日本はイランと良好な関係にあるうえ、IAEAの事務局長には外務省出身の天野之弥氏が就任した。日本は国際社会と連携し、イランに姿勢転換を働きかけていかねばならない。

2009年12月19日01時20分  読売新聞)
東京本社発行の最終版から掲載しています。
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