HTTP/1.1 200 OK Date: Sat, 19 Dec 2009 03:17:05 GMT Server: Apache/2 Accept-Ranges: bytes Content-Type: text/html Connection: close Age: 0 東京新聞:伊豆群発地震 おびえず沈着な行動を:社説・コラム(TOKYO Web)
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【社説】

伊豆群発地震 おびえず沈着な行動を

2009年12月19日

 十七日夜から十八日にかけ、静岡県伊豆で地震があった。三十年来頻発する群発地震と見られ、規模もそれほどではないが、おびえずかつ油断をせず、冷静沈着な対応で被害を防ぎたい。

 この地震により関東から東海にかけて揺れが感じられたが、静岡県伊東市では十七日夜と翌朝の二度、震度5弱を観測した。震源は伊豆半島東方沖である。

 規模はマグニチュード(M)5程度だが、けが人のほか家屋損壊や水道の断水などライフラインの被害があった。新幹線など鉄道にも影響した。

 大地震には余震が伴うが、さほど規模の大きくない地震が次々に起きるのが群発地震である。規模が大きかったのは二〇〇〇年六月の三宅島噴火に伴い伊豆諸島で起きたもの、一九六五年八月から五年間も続き、有感地震六万回以上の長野市松代の例がある。

 伊豆半島東方沖では、一九七八年以来たびたび群発地震が観測されている。海底下のマグマが岩盤の割れ目を上昇する際に起きる火山性の地震というのが、専門家のほぼ一致した見解である。

 気象庁は、今回の地震も同様の群発地震と見ている。八九年に起きたような海底噴火に結び付くデータは今のところないが、地震活動は当分続き、震度5弱〜5強の地震発生の恐れを警告する。

 群発地震の特性から、M5を大幅に上回る規模の地震が続けて起きる心配はないと見てよい。また静岡県は東海地震の震源域に広く接しているが、さしあたって今回の地震と巨大地震との関連も認められない。枯れ尾花におびえる必要はあるまい。

 だが地震の規模がM6やM7に達していないからと、地震を見くびるのは絶対に禁物である。

 群発地震でも三宅島近海で続いたものは、M6級の地震が数回起きている。地震の規模やいつどこで発生するかは、地震科学の現状ではとうてい予測できない。常に最悪の事態を想定して、備えを万全にすべきである。

 巨大地震による被災が予想される地域、例えば静岡、愛知、神奈川県などでは、家屋の耐震改修などハード面の防災対策はかなり進んだといってよい。

 しかし今回もお年寄りが転倒して重傷を負うなど、緊急時にどう行動するか、とくに高齢者をいかに介助し安全を確保するか、ソフト面ではまだまだ課題が残る。自治体、地域コミュニティーがともに努力すべき目標である。

 

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