HTTP/1.1 200 OK Date: Sat, 19 Dec 2009 03:17:01 GMT Server: Apache/2 Accept-Ranges: bytes Content-Type: text/html Connection: close Age: 0 東京新聞:小沢氏秘書公判 裁かれるゼネコン癒着:社説・コラム(TOKYO Web)
東京新聞のニュースサイトです。ナビゲーションリンクをとばして、ページの本文へ移動します。

トップ > 社説・コラム > 社説一覧 > 記事

ここから本文

【社説】

小沢氏秘書公判 裁かれるゼネコン癒着

2009年12月19日

 西松建設の偽装献金事件で、小沢一郎民主党幹事長の公設秘書は無罪を主張した。「天の声」を出していたとする検察側との全面対決である。ゼネコンとの構造的な癒着を徹底解剖する裁判を望む。

 小沢氏の事務所は公共工事に決定的な影響力を持つ。それを背景に、ゼネコンに多額の献金をさせていた−。検察側が描いたのは、旧態依然たる「政」と「業」が結び付く構図である。

 冒頭陳述では、小沢事務所から工事の了解を与える「天の声」をもらったことで、西松建設が岩手県や秋田県で公共事業を受注した経緯を述べた。一九九六年から受注した、トンネル工事や病院建築工事など、総額約百二十億円にのぼる工事である。

 政治献金も、それらの受注期と重なっている。九七年から二〇〇六年にかけて、西松建設側は小沢氏側に年間千五百万円の寄付を続けていた。下請けや同社OBが代表を務める政治団体を使うなどの手法があったとも指摘した。

 OBの政治団体は実体がない西松建設のダミーだから、政治資金収支報告書に虚偽の記載をした罪にあたる。それが検察側の主張だが、小沢氏の秘書は法廷で「あくまで政治団体の寄付だ」と真っ向から否認した。

 小沢事務所は複数のゼネコンに対しても「天の声」を出し、献金を要求したと検察側はいう。事実ならば、明朗さを欠く資金集めと非難されてもやむを得まい。

 問題は別にもある。当初は西松建設の社名で寄付していたのに、九五年と〇〇年に政治資金規正法が規制強化されるたびに、段階的に「西松」の名前が報告書から消えていくのだ。

 ゼネコン業界では、取引先や下請けなどを使う複雑な手法で、社名を出さずに献金しているのが実態だという。政治へのカネでも“トンネル”を掘っているのと同然だ。政界でまん延する集金手口なのか。法の趣旨を踏みにじる「抜け穴献金」は許さぬよう、法改正を急ぐべきだ。

 秘書側は「今回の起訴は公訴権の乱用で無効」とも主張した。総選挙を控えた時期の電撃的な秘書逮捕は、当時の野党党首を狙い撃ちした印象を世間に与えたのは事実だ。

 だが、小沢氏はもはや政権政党の最高実力者とされる。陳情を一手に取り仕切り、政策をも左右する。それゆえに一連の金銭疑惑に対しては、真摯(しんし)に答え、透明性を高めるのが務めだ。

 

この記事を印刷する