HTTP/1.1 200 OK Date: Sat, 19 Dec 2009 00:16:09 GMT Server: Apache/2 Accept-Ranges: bytes Content-Type: text/html Connection: close Age: 0 東京新聞:きのう朝。大きな交差点で信号待ちしていると、冷たい北風がぴ…:社説・コラム(TOKYO Web)
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【コラム】

筆洗

2009年12月19日

 きのう朝。大きな交差点で信号待ちしていると、冷たい北風がぴゅーっと吹いて、思わず首をすくめた。ちょうど信号の変わり際。東西も南北方向も「赤」となったほんの束(つか)の間(ま)、そこが広場になった▼と、思うや、街路樹を去ってどこぞにたまっていたらしい無数の落ち葉たちが、カラカラとそれなりに賑(にぎ)やかな音とともに登場。音楽ならぬ寒風に乗り、アスファルトの広場を集団で右へ左へと舞い踊った。一方が「青」になり、激しい車の往来に蹴(け)散らされるまでの短いショーだった▼気圧配置は強い冬型、列島上空には厳しい寒気が流れ込み、きのう辺りからついに冬本番の感じである。きょうは、日本海側や山間部だけでなく、太平洋岸の平野部でさえ雪になる所がありそうだ▼この時期、人は寒さの対処法に腐心する。代表格は体の内からなら熱燗(あつかん)、外からなら暖房器具か。確かに身は温まる。でもそれではしのげぬ寒さもある。<南天よ炬燵(こたつ)やぐらよ淋(さび)しさよ>一茶。寒さは人恋しさを増すという。きっと、人を一番温めるのは、やっぱり人だからだろう▼そういえば「旧交を温める」という言い方もある。ことに些細(ささい)なことで仲違(たが)いした友や、何となく疎遠になってしまった相手がいるなら、今の季節が復旧の一番の好機かもしれない▼なぜって、向こうだって寒いはずだから。間に熱燗でもあれば申し分ない。

 

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