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社説2 小沢「陳情仕分け」に漂う不安(12/17)

 「政策決定は内閣に一元化する」という鳩山政権の基本方針に反する懸念がつきまとう。

 民主党は来年度の予算編成と税制改正に向けた重点要望をまとめ、小沢一郎幹事長が鳩山由紀夫首相に提出した。小沢氏は全国からの陳情が2800件に上ったことを強調し、「可能な限り予算に反映していただきたい」と求めた。

 重点要望は高速道路や整備新幹線の建設促進など来年夏の参院選を視野に入れた歳出増の要求が目立っている。一方で「子ども手当」に所得制限を求め、民主党が廃止をうたっていたガソリン税の暫定税率の維持を打ち出すなど、財源とのバランスを重視した部分は評価できる。

 問題は予算や税という国の重要な政策判断を一部の党幹部が直接左右しかねないという手順にある。最終的な決定権は政府にある建前とはいえ、要望は小沢氏が陣頭指揮でまとめた内容だけに今後の調整に大きな影響を与えるとみられている。

 民主党は歴代の自民党政権を「政府と与党を使い分ける二元体制だ」と批判してきた。鳩山政権は予算編成や税制改正の仕事を政府に一本化する一方、地方自治体や業界団体からの陳情は党本部の幹事長室に集約する新たなルールを打ち出した。

 自民党の有力議員が支援者の要望を各省庁に直接働き掛けたり、党税制調査会の幹部会が税制改正を取り仕切る慣行には問題点が多かった。政策決定の透明化を目指した民主党の取り組み自体は前進といえる。

 ただ今回、民主党に寄せられた陳情の「仕分け作業」は、小沢氏らごく少数の幹部の手で進められた。重要事項の決定が実質的に密室で決まるのは好ましくない。実際に政府内の予算や税制をめぐる調整は「党の判断待ち」となり、税制大綱の決定が当初予定から大きく遅れた。

 政治活動で寄せられた声を国政に反映するのは議員の役目だ。しかし党側の要望は参考材料の一つとして、あくまで首相や閣僚が主体的に政策を決定していくのが筋である。

 小沢氏は中国、韓国訪問で、政府を代表するような発言も目立った。海外と与党のパイプは重要だが、「二元外交」の批判を招くことがないよう言動は慎重であるべきだ。

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