HTTP/1.0 200 OK Server: Apache Content-Length: 59979 Content-Type: text/html ETag: "3964ed-15e5-9e4abd00" Expires: Thu, 17 Dec 2009 02:21:05 GMT Cache-Control: max-age=0, no-cache Pragma: no-cache Date: Thu, 17 Dec 2009 02:21:05 GMT Connection: close 租特見直し 景気に配慮し拙速を避けよ : 社説・コラム : YOMIURI ONLINE(読売新聞)



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租特見直し 景気に配慮し拙速を避けよ(12月17日付・読売社説)

 来年度税制改正の焦点だった租税特別措置(租特)の扱いが、ほぼ固まった。

 政府税制調査会は投資減税や住宅優遇税制など、税負担の軽減策の多くを存続させる見通しだ。

 租特の中には、政策目的を終えたものや、特定業界の「隠れ補助金」と指摘されるものもある。だが、デフレが進行し雇用情勢も厳しさを増す中、拙速な廃止や縮減は企業の投資意欲を冷やし、景気の底割れを招きかねない。

 今回、本格的な削減を見送るのは妥当な判断だ。政府税調は経済動向を注視しながら、今後の見直しを進めるべきである。

 民主党は衆院選の公約に租特の抜本見直しを掲げた。政権交代後に発足した政府税調は1兆円超の財源確保を目指し、約200件の租特の査定に取り組んできた。

 当初の査定では、従来の措置を延長したり、新設、拡充を認めたりしたのは計13件だけで、60件は「認めない」方針だった。

 だが、産業界の強い反対で、石油化学製品の原料となるナフサに対する免税措置や、企業の研究開発費に対する法人税の軽減措置などが、次々に「復活」した。

 見直しで確保できる財源は目標の1割にも満たなくなった。しかし、これらの租特を打ち切れば、中間財の値上げや企業の国際競争力の低下が進み、経済全体への悪影響は必至だった。政府税調の方針転換は当然の帰結といえる。

 一連の租特見直しでは、行政刷新会議の事業仕分けと同様、短期間に存廃を決めようとした手法に無理があったのではないか。「政治主導」を意識しすぎ、産業界の声に十分耳を貸さなかったことが反省点だろう。

 なお税調の調整が必要な租特に、住宅取得資金に関する贈与税の非課税枠の拡充がある。政府の緊急経済対策に盛り込まれたが、具体策が決まっていない。

 非課税枠の拡充は、余剰資金を抱えている親世代から、消費性向が高い子世代への資金移動を促し、消費を刺激する有効策だ。大幅な拡充に踏み切るべきだ。

 他の税制改正では、地球温暖化対策税(環境税)の扱いや、所得・住民税の扶養控除の縮減などで調整が難航している。子ども手当支給など、鳩山内閣の主要政策の財源を確保するための措置だ。

 財政事情が厳しいのに、こうした政策の実施を急ぐこと自体に問題がある。民主党は16日、ガソリン暫定税率の存続などを求める要望を提出した。政府はそうした方向で見直しを進めるべきだ。

2009年12月17日01時01分  読売新聞)
東京本社発行の最終版から掲載しています。
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