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小沢氏記者会見 不穏当きわまる辞表提出発言(12月16日付・読売社説)

 小沢民主党幹事長が、天皇陛下と習近平・中国国家副主席との会見問題で、羽毛田信吾宮内庁長官を厳しく批判した。

 天皇と外国要人との会見は、天皇陛下の健康上の理由から、過密日程を避けるため、1か月前までに宮内庁に申し入れるという慣行がある。

 鳩山首相が今回、その特例として会見を実現したことは、何の問題もないと、小沢氏は記者会見で訴えようとしたのだろう。

 小沢氏は、1か月ルールについて「宮内庁の役人が作ったから金科玉条で絶対だなんてばかな話があるか」と断じた。今回の経緯を公表した羽毛田氏について「どうしても反対なら辞表を提出した後に言うべきだ」と強調した。

 職責を果たそうとする官僚を頭ごなしに非難すれば、官僚の使命感や意欲はそがれてしまう。極めて不穏当な発言だ。羽毛田氏が「辞めるつもりはない」と辞任を否定したのは当然のことだ。

 問題は、それだけではない。

 小沢氏は「天皇陛下の国事行為は内閣の助言と承認で行われる」と憲法を持ち出し、天皇の政治利用にはあたらないと反論した。

 外国要人との会見は、国会の召集など憲法に定められた国事行為そのものではなく、これに準じた「公的行為」とされる。

 無論、公的行為も内閣が責任を負うわけだが、問題の本質は、国民統合の象徴である天皇の行為に政治的中立を疑わせることがあってはならないということだ。

 小沢氏は、「天皇陛下ご自身に聞いてみたら『会いましょう』と必ずおっしゃると思う」とも語った。天皇の判断に言及することも不見識と言わざるを得ない。

 小沢氏は、政府に会見の実現を求めた事実はないと否定したが、崔天凱・駐日中国大使から要請を受けながら、全く働きかけをしなかったのだろうか。

 首相の対応にも疑問がある。

 首相は、特例的に会見を実現するよう指示したのは「大事な方」だからとした。今後の日中関係や習副主席が「次代のリーダー」とされていることを踏まえれば、そうした判断もありえよう。

 しかし、会見のルールが、これを機に破られることになれば、「政治的重要性」で要人の扱いに差をつけることになり、天皇の政治利用につながる、という宮内庁側の憂慮もうなずける。

 首相や平野官房長官は「政治と天皇」のあり方について基本的な理解を欠いていたのではないか。政治主導をはき違えては困る。

2009年12月16日01時13分  読売新聞)
東京本社発行の最終版から掲載しています。
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