HTTP/1.1 200 OK Date: Wed, 16 Dec 2009 00:17:11 GMT Server: Apache/2 Accept-Ranges: bytes Content-Type: text/html Connection: close Age: 0 東京新聞:真冬でも蒸し暑い日だった。少し動くと汗が噴き出す。沖縄南部…:社説・コラム(TOKYO Web)
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【コラム】

筆洗

2009年12月16日

 真冬でも蒸し暑い日だった。少し動くと汗が噴き出す。沖縄南部で三年前、旧日本軍兵士の遺骨収容活動に参加した。かつて日米両軍で激戦があったとは思えない静かな山中だった▼呼び掛けたのは「戦没者を慰霊し平和を守る会」(佐賀県)。陸軍・重砲兵第七連隊の観測所と本部をつなぐ連絡壕(ごう)にたまった土砂をスコップで取り除いた。さびた小銃の薬莢(やっきょう)を手にした時、戦場だったことを実感した▼大量の人骨を掘り出した参加者もいた。本土防衛の“捨て石”にされたこの島で、無数の遺体から「ここにいる」という叫びが聞こえる気がした。返還から三十年以上たっても戦争の暗い影は消えない▼二〇〇四年八月、米軍普天間飛行場の大型ヘリコプターが沖縄国際大学に墜落した。直後の映像にメディアの取材を妨害し、警察の現場検証も拒絶する米軍兵士の姿があった。これでも主権国家なのかと目を疑う衝撃的な内容だった▼その普天間飛行場の移設問題で、政府は〇六年の日米合意を見直し、移設先をあらためて決める方針を決定した。県外・国外への移転を求める県民の強い声に応える姿勢を見せた▼「トラスト・ミー(私を信じて)」と鳩山由紀夫首相がオバマ米大統領に言った以上、対米交渉の厳しさは覚悟の上だろう。単なる先延ばしなら政治不信は極まる。政権は後戻りできない道を踏み出したのか。

 

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