HTTP/1.1 200 OK Connection: close Date: Sun, 13 Dec 2009 01:16:13 GMT Server: Apache/2 Accept-Ranges: bytes Content-Type: text/html Age: 0 東京新聞:二〇〇四年秋の園遊会で、天皇陛下が異例の発言をされた。棋士…:社説・コラム(TOKYO Web)
東京新聞のニュースサイトです。ナビゲーションリンクをとばして、ページの本文へ移動します。

トップ > 社説・コラム > 筆洗 > 記事

ここから本文

【コラム】

筆洗

2009年12月13日

 二〇〇四年秋の園遊会で、天皇陛下が異例の発言をされた。棋士で東京都教育委員だった米長邦雄さんの「日本中の学校で、国旗を揚げ国歌を斉唱させるのが私の仕事です」との発言に答えた▼「やはり強制になるということでないことが、望ましいですね」と陛下。米長さんがどんな反応を期待したのか分からない。自身の言葉の影響を自覚した当意即妙の回答に感心させられた▼中国の胡錦濤国家主席の後継者と目される習近平副主席が十五日、陛下と会見することになった。官邸の強い意向で実現した会見が「天皇の政治利用に当たるのではないか」と議論になっている▼外国要人との会見は一カ月以上前に文書で申請する慣例があり、宮内庁は断っていた。鳩山由紀夫首相の指示を受けた平野博文官房長官が強く要請した結果、特例で決まった▼「二度とあってほしくない。憲法下の陛下の基本的なあり方にもかかわる」と宮内庁の羽毛田信吾長官は異例の強い不快感を表明したが、将来の主席の“箔(はく)付け”に協力するだけなら、政治利用といわれても仕方ない▼明治維新後、近代的な国民国家を確立するため、新政府は天皇制を利用した。太平洋戦争に敗れて新憲法が制定された際に、天皇は政治的な権能を一切持たない国民の「象徴」になった。戦前の反省がそこにある。政治はもっと歴史に敏感であってほしい。

 

この記事を印刷する