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社説2 健保組合は国の財布ではない(12/12)

 国の予算案を編成する際に翌年度はどうもお金が足りそうにないからといって、民間の財布に手を突っ込むのは禁じ手だろう。現実は大手企業などの健康保険組合が医療費をまかなう財布として狙われている。

 75歳以上の後期高齢者医療の支援金について、厚生労働省は主に中小企業の従業員とその家族が入る全国健康保険協会(協会けんぽ)の負担を減らし、その分を健保組合などに肩代わりさせる案を出した。

 予算案を取り繕う唐突な提案であり、撤回すべきだ。健保組合は厚労省にとって医療費をやりくりするための都合のよい財布ではない。

 似た光景は2年前にも見られた。政府管掌健康保険(現協会けんぽ)に政府が出す補助金の一部を、同省は健保組合と公務員の共済組合に肩代わりさせようとした。健保組合に750億円、共済組合に250億円を2008年度に出させる特例法案を国会に出し、結局は廃案になった。

 今回の肩代わり案の名目は高齢者への支援金だが、構図は同じ。健保組合に1400億円、共済組合に1000億円を求めている。

 協会けんぽの保険財政は従業員の給与水準の低下などで苦しさが増しており、保険料率の引き上げが避けられない。長妻昭厚労相ら同省の政務三役は、国費を使って保険料引き上げを避けようとしたが、財務省は認めようとしない。そこで目をつけたのが健保組合と共済組合だ。しかし健保組合にも保険財政が窮迫しているところが少なくない。

 厚労省は大手企業と中小企業とが医療費の負担について助け合う必要性などを強調している。だとすれば、その場しのぎの金策はやめ、高齢者医療制度や市区町村の国民健康保険を含めた制度全体を見渡し、根本から設計図を引き直すのが筋だ。

 年を追うごとに増え続ける高齢者医療費をどの世代が、どういう考え方に基づいて分担するのか。持続性の高い健康保険制度を定着させるには、保険料と消費税の将来の水準を見据えなければならない。

 その過程で、医療給付費のなかの税金と保険料の役割分担をはっきりさせるのが重要な政策課題だ。健保組合からの召し上げ案は、民主党の医療政策の貧困の象徴である。

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