HTTP/1.0 200 OK Server: Apache/2 Content-Length: 17863 Content-Type: text/html ETag: "42a8a3-45c7-249aa500" Cache-Control: max-age=5 Expires: Sat, 12 Dec 2009 21:21:10 GMT Date: Sat, 12 Dec 2009 21:21:05 GMT Connection: close asahi.com(朝日新聞社):天声人語
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天声人語

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2009年12月13日(日)付

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 甘党でなくても、栗ぜんざいが恋しい時がある。小豆あんのまったり、栗のほっこりが湯気に溶け合い、冷え込んだ日などうれしいものだ。色の取り合わせも鮮やかで、味わいに一役買っている▼補色とか反対色とか難しいことは知らないけれど、引き立て合う色というのが確かにある。甘味どころに映える黄と赤紫はその一対だろう。師走の街にあふれる赤と緑の組み合わせも、華があっていい▼二つの色がクリスマスを彩るのには理屈があって、一説によれば赤はキリストの血、緑は永遠の命を表すという。この由来を語る植物といえば、赤い実と艶(つや)やかな葉のセイヨウヒイラギがまず浮かぶ。昨今は見栄えのするポインセチアが好まれるようだ▼月初め、埼玉県本庄市でポインセチアの出荷を見学した。広いハウスは18度に保たれ、水やりの管を差した鉢がすき間なく並ぶ。換気扇の風に、包葉の波が赤く揺れていた。メキシコあたりの原産だけに、冬の戸外は苦手らしい▼鉢の多くは今ごろ、寒気に耐えて店頭やテーマパークを飾っているはずだ。生産者の須長賢一さん(62)によると、不況でホテルなどの注文が伸びず、市場価格は前年の8〜9割。くすんだご時世に、派手やかな色は浮きがちだ▼赤より居心地が悪いのは、年末年始に欠かせぬ金色かもしれない。しかし、金ぴかには程遠い世の中だからこそ、ささやかな輝きや色づかいが心にしみる。幾らかのぬくもり、なにがしかの元気をもらいに、宵の街に出てみようか。きょうは、光に縁の深い聖(サンタ)ルチアの日である。

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