HTTP/1.1 200 OK Date: Sat, 12 Dec 2009 00:16:15 GMT Server: Apache/2 Accept-Ranges: bytes Content-Type: text/html Connection: close Age: 0 東京新聞:きっと、この字は本命か、せいぜいが対抗。決して穴ではなかっ…:社説・コラム(TOKYO Web)
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【コラム】

筆洗

2009年12月12日

 きっと、この字は本命か、せいぜいが対抗。決して穴ではなかったと思う。「新」。昨日、発表された「今年の漢字」である▼前夜あたりは特に、家族や仲間内で、事前予想の話に花を咲かせた人も多かったのではなかろうか。小欄筆者も、そのクチ。周囲が挙げたのは、やはり政権が交代し、民主党中心の新政権ができたことを念頭に置いた「改」や「政」「民」など。無論、「新」の予想もあった▼昨日、この字を揮毫(きごう)した京都・清水寺の森清範貫主に至っては、実に三カ月も前に“的中”させていた。主催団体の不祥事で、同寺は会場提供を一時保留したが、結局、従来通り行うことで九月に合意。その記者会見で「今の心境を一字で」と問われた貫主の答えが「新」だった▼今年も見事にはずれたが、筆者が選んだのは「屈」。この不況を見渡せば、お世辞にも自信満々とは申せず、何だか、ニッポンがその小さくない体を曲げて、屈(かが)み込んだような印象を受けるからである▼「新」に比べて後ろ向きすぎる、としかられそうだが、実はそうでもない。ジャンプするのに棒立ちの姿勢からする人はいない。今、屈んでいるのは、だから、いずれ高く跳ぶためだ。飛躍の準備だと思っておきたい▼それにしても、ただ一字で時代の空気まで表現できるのは漢字ならでは。例えば「今年のアルファベット」は成立しない。

 

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