「十大ニュース」の候補になりそうな、今年の大きな出来事を思い出してみた。文句なく「気分」を明るくしてくれたニュースというのは、残念だが、やはりそんなにない▼米アカデミー賞外国語映画賞に『おくりびと』、短編アニメ賞には『つみきのいえ』(二月)、野球のWBCで日本連覇(三月)、バン・クライバーン国際ピアノコンクールで盲目のピアニスト辻井伸行さんが優勝(六月)、ゴルフ男子の石川遼選手が史上最年少賞金王(十二月)…。ざっと、こんなところか▼お気づきの通り、どれも文化やスポーツ分野の出来事だ。どちらも、切実というよりはゆとりに属する分野で、例の「事業仕分け」では厳しい評価を受けた。予算を削る方、削られる方の主張は主張として、一つ思うのは、この「明るいニュース」発信力の評価だ▼不況脱却のカギの一つは、消費マインドという。つまり国民の「気分」。ならば、それを前向きにする両分野の貢献度は、一定程度、考慮してもいい気がする▼その「仕分け」。予算編成過程が一部でも公開されたことに意味はある。が、連日、あの厳しい経費削減のドラマを見せられたことで、国民の間に一層倹約の「気分」が広がった面はないだろうか▼<小遣いも妻の基準で仕分けされ>とは今年のマネー川柳入選作。消費を冷やしたとすれば、政府が困る“副作用”だ。