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有権者の抜きはなった刃が日本の政治を袈裟懸(けさが)けにした。これぞ「一票両断」。住友生命が募った年の瀬恒例の創作四字熟語に、一年を振り返る名作迷作が多く寄せられた▼寒空の炊き出しで今年は明けた。派遣切りや雇い止めで仕事を失った人々が「断雇(だんこ)反対」を叫んだ。夏の選挙で永田町はひっくり返る。「政権好待(こうたい)」が実現したが、新政権の「鳩世済民(きゅうせいさいみん)」の手腕はいかに▼新型インフルエンザが上陸すると、店頭からマスクが消えた。日本中が「顔面総白」となって、来訪の外国人も驚いた。うつされてはたまらないと、通勤電車も人ごみも「一咳(いっせき)触発」でピリピリする。予防したくてもワクチンは足りず、切歯扼腕(せっしやくわん)ならぬ「接種待腕(まつわん)」がなお続く▼高速道路の「千円」は功罪が半ばした。喜々として「遠奔千走(とおほんせんそう)」する人もあれば、「千車万列」の大渋滞にプロの運転手は泣かされ、客をとられた鉄道も船も泣いた。暦の魔術で初の「秋休五日」(シルバーウイーク)となったものの、どこもかしこもやはり渋滞▼「司民参加」の裁判員制度が始まり、「判官判民」の裁きに市民感覚がにじみ出た。白昼の天体ショーは「皆祈日食」で晴天を待ったが、悪石島は無情の雨。米国では旅客機が川に奇跡の不時着。「一機冬川(いっきとうせん)」の機長の離れ業が喝采を浴びた▼この人を忘れてはいけない。石川遼君めあての「一目遼戦(りょうせん)」のギャラリーでゴルフ界はわいた。国宝の阿修羅像展も長蛇の盛況となり、多くの人が「阿美共感(あびきょうかん)」した。ゆく年に、忘れ得ぬあのまなざしが、ふと胸をよぎる。