HTTP/1.0 200 OK Server: Apache Content-Length: 58238 Content-Type: text/html ETag: "f4bab-120b-2b2e7780" Expires: Wed, 09 Dec 2009 01:21:16 GMT Cache-Control: max-age=0, no-cache Pragma: no-cache Date: Wed, 09 Dec 2009 01:21:16 GMT Connection: close 12月9日付 編集手帳 : 社説・コラム : YOMIURI ONLINE(読売新聞)



現在位置は
です

本文です

12月9日付 編集手帳

 少し前の読売歌壇で名前の歌を読んだ。〈以上百三十名の新一年生「ナニお」「ナニこ」と呼ぶ名聞かざりき 坂戸市 神田真人〉◆きのうの朝刊に載った人気ベスト10にも「ナニお」「ナニこ」は見当たらない。今年生まれた赤ちゃんの名前は、男の子が4年連続で「大翔」(ひろと、など)、女の子は前年4位「凛」(りん)が1位だったという◆「翔」という字で思い出す人がいる。奈良時代の遣唐留学生、阿倍仲麻呂の従者として唐に渡った羽栗吉麻呂は向こうの女性と結婚し、二人の男児をもうけた。鳥のように翼をひろげ、大空を()けて祖国・日本に帰りたい。胸を焦がす望郷の思いから父親は「翔」(かける)、「翼」(たすく)と名づけたという◆子供の命名にはなにがしか、親がいまの世でかなえられぬ夢が託されているだろう。不景気と新型インフルに翻弄(ほんろう)された一年、「翔」や「凛」の字とは誰しも、縁が薄かったようである◆その名の通り、凛々(りり)しく羽ばたける未来を迎えられるといい。君たちのお父さんやお母さんと一緒に、おじさんも腕まくりをしよう――初々しい名前たちにつぶやく。

2009年12月9日01時35分  読売新聞)
現在位置は
です