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社説2 北朝鮮に安易に妥協するな(12/9)

 米国のボズワース北朝鮮担当特別代表が訪朝した。北朝鮮の外交政策を担う姜錫柱第1外務次官らと会談し、北朝鮮に6カ国協議への早期復帰を促すのが狙いである。

 ボズワース氏は10日まで平壌に滞在する予定だ。米国のオバマ政権にとって、初の米朝高官協議となる。米側は、北朝鮮が核放棄を確約した2005年の6カ国協議共同声明を再確認するよう求める意向だ。

 日米韓中ロに北朝鮮を加えた6カ国協議は、昨年12月の会合を最後に開かれていない。北朝鮮は今年4月に協議離脱を宣言した。北朝鮮が協議に復帰すれば、核問題の解決に向けた一助にはなるだろう。だが協議再開は目的ではない。目的は北朝鮮の核放棄だ。協議再開を優先するあまり、北朝鮮への譲歩を重ねた過去の失敗は繰り返すべきではない。

 金正日総書記は10月に訪朝した中国の温家宝首相に対し、米朝協議の進展を前提に「6カ国協議を含む多国間対話に乗り出したい」と表明した。これがボズワース氏訪朝の布石になったが、北朝鮮の思惑はあくまでも米朝協議の定例化にある。

 今回の協議でも、北朝鮮は米国による敵視政策の撤回や金正日体制の安全の保証、経済支援などを求め、米側を揺さぶる公算が大きい。

 米政府は北朝鮮による完全な核放棄の見返りに、大規模な経済支援などを約束する一括妥結交渉を模索しているが、6カ国協議での話し合いが前提だ。米朝協議で安易に妥協すれば、北朝鮮の思うつぼである。

 国際社会が包囲網を強め、北朝鮮に無条件で6カ国協議復帰を促すのが何より重要だ。国連安全保障理事会の対北朝鮮決議に基づく関係各国の経済制裁は、北朝鮮に打撃を与えた。最近のデノミ(通貨呼称単位の変更)実施も、物資不足による物価急騰という経済苦境の表れだろう。ヤミ蓄財の摘発も狙ったデノミは、かえって経済混乱を助長している。

 先の日本の臨時国会では、北朝鮮に出入りする船舶への貨物検査をしやすくする特別措置法案が成立しなかった。残念である。鳩山政権は来年の通常国会で速やかに成立させるべきだ。北朝鮮の核開発は東アジアの安全に重大な脅威であり、国際テロ組織への核拡散の懸念もある。

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