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春秋(12/9)

 米騒動と新幹線。おかしな組み合わせだが、両者には浅からぬ因縁がある。そんな話をさいたま市の鉄道博物館で知った。東海道新幹線最初の営業用車両「0(ゼロ)系」の展示に合わせ、この博物館がまとめた資料が教える鉄道史の一こまだ。

▼時は大正の半ば。日本の鉄道を狭軌から広軌に造り直す計画が実現目前だった。そこへ起きたのが米騒動だ。寺内正毅内閣は倒れ、すべては中止に。欧米に大きく後れを取ったのだが技術陣はかえって発奮し、まったく新しい発想で広軌の高速鉄道を別に造る大事業を生んだという。まさに起死回生の物語である。

▼そのシンカンセンを海外に売り込む動きが目立つ。ベトナムやブラジルの高速鉄道計画にJRや車両メーカーの視線は熱く、クルマ社会の米国でも新たな鉄道づくりが進みそうだから大いに商機はあろう。せっかくの技術を国内に眠らせておくことはない。意気消沈の日本を元気づけるわれらが新幹線に違いない。

▼かつて「夢の超特急」と呼ばれ、博物館で余生を送る0系は最高時速210キロだった。それが次第に速度を上げ、JR東海は海外展開をにらんで330キロ運転を検討中という。逆境をはね返し、見事に成功を導いた歴史を秘める新幹線に今ひとたび夢を託してもいい。団子っ鼻の老兵がことのほか頼もしく見える。

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