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このところの政府を見ていると童謡「小ぎつね」(勝承夫=かつ・よしお=作詞)が口をつく。3番の歌詞が鳩山首相に重なる。――小ぎつねコンコン穴の中 穴の中 大きな尻尾(しっぽ)はじゃまにはなるし 小首をかしげて考える――▼尻尾は連立を組む社民党と国民新党である。天下の公党を尻尾呼ばわりは失礼だが、尻尾が胴体を振り回すたとえは言い得て妙だ。小さいけれど大きな「尻尾」をもてあまし気味に、首相は小首かしげて何を考えているのか。そのあたりがよく見えてこない▼きのう閣議決定した総額7.2兆円の経済対策でも亀井大臣の国民新党に揺さぶられた。結局、地方の公共事業を上積みしたが、首相がリーダーシップを発揮したふしは見あたらない。亀井さんにかき回されっぱなしの印象だ▼普天間飛行場問題では、県外移設を言う社民党の理念が重い。さらに、地元沖縄にも米国にもそれぞれ立場がある。首相の「三方美人」ぶりは、一人の女が男3人に愛を誓う落語の「三枚起請(きしょう)」を思わせる。寄席なら笑えるが、ことは国の安全保障にかかわる大事である▼鳩山さんはたぶん優しい人なのだろう。優しくあるべきときに優しい人は素晴らしい。だが、いつも優しい人は、優柔不断が裏返っているだけの場合がある。厳しく処した後の気まずさを考えて、ことを先送りしてしまう▼政権発足前の小欄で、中曽根元首相がかつて、鳩山氏に「政治は形容詞ではなく動詞でやるものだ」と注文をつけた逸話を書いた。そろそろ得意の形容詞ではなく、ゆるぎない動詞の出番である。