デジタル機器を使っている人は別だが、いまはスケジュール管理が面倒な時期だ。2009年版の手帳は、来年1月半ばまでしか書き込めない。それ以降の予定は余白に書くしかないから、新しい手帳に切り替える時に写し忘れやすい。
▼それでも12月半ばに新しい手帳に切り替える時には、新鮮な気持ちになる。いま使っている今年の手帳を見る。2月あたりまでは、それ以降と比べ、ずっと丁寧な字で書いてある。日記も同じ。年の初めは字もきれいだし、記述も多い。「我が生は淋(さび)しからずや日記買ふ」(高浜虚子)。来る年への決意が伝わる。
▼右の句の季語は「日記買ふ」。12月に使う。日記と同じく新年用商品であるカルタは当然、1月の季語。歳時記を見なくても、基本的な季語を学べるカルタを最近見つけた。女性だけのグループ「俳句座☆シーズンズ」が作った「トコトコ季語かるた」。俳句が書かれた字札を読み、季語のイメージの絵札をとる。
▼使われた句は「雑煮椀(わん)母が最後に卓につき」のように、女性の視点が面白い。「白鳥の首を伸ばして目覚めけり」の季語は白鳥。冬の寒さを元気に変える。冬の後には春が来る。「水温(ぬる)むふるさとの空いつも青」。雪や氷は解け、水も温かくなる。日本経済が水温むのはいつだろう。新しい手帳を手に、そう思う。