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春秋(12/6)

 日本監査役協会の役員と懇談した折に、トップ経営者の暴走に監査役は有効に対処できるのか尋ねてみた。「トップが密(ひそ)かにしていることを即座に知るのは難しいですね」。協会長の築舘勝利東京電力監査役は悩ましげに答えてくれた。

▼会長や社長がおかしな行動をしたら、日ごろ接している取締役や執行役員などの方が、監査役よりも早く気づくだろう。しかし、ささいなことでも人事権を事実上握るトップにもの申すのは容易ではない。JR西日本の第三者によるコンプライアンス特別委員会の報告が指摘した同社の経営風土の問題がよい例だ。

▼「他人の意見に耳を傾けない」元社長のワンマン経営が、JR西日本の自浄能力低下の一因という。みな「物言えば唇寒し」で、上の顔色をうかがって行動するようになったそうだ。昔、大物財界人として知られた今里広記社長の経営する日本精工に銀行から部長で入り、後に同社の社長になった長谷川正男さんは、開き直って直言した。

▼取締役になり、まずいと思う点をつかみ社長への具申を専務に頼んだら「君が言え」と逃げられた。勇気をふるって直接話すと今里社長は黙って聞いて、しばらくして果断に処置した。下からの直言を虚心に聞く度量のある経営者ならよいのだが、残念ながらそうはいないのが現実である。

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