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WTO交渉 膠着状態をどう打開する(12月5日付・読売社説)

 難航している貿易自由化交渉は、2010年中に最終合意できるのか。単なる決意表明だけでなく、膠着(こうちゃく)状態を打開する決断が求められよう。

 ジュネーブで開かれた世界貿易機関(WTO)の閣僚会議は、新多角的貿易交渉(ドーハ・ラウンド)を来年中に最終合意することを再確認した。3月末までに交渉の進展状況をまとめる新たな会合を開く方針でも一致した。

 WTOのラミー事務局長が「現在の交渉ペースでは、来年中の妥結は困難」と述べた意味は重い。合意へのハードルはまだ高く、交渉を加速しなければならないとの危機感を示すものだ。

 2001年末にスタートした新ラウンドは、日米欧や途上国の対立などで何度も挫折し、異例の9年目に入っている。

 金融危機は最悪期を脱したが、世界の景気回復をより確実にするには自由貿易の推進が重要だ。新ラウンドの決着が、これほど望まれる時はないだろう。

 特に、日米欧や中国などの主要国は、交渉妥結へ責任を果たさなければならない。

 しかし、今回の閣僚会議でも、カギを握る米国と途上国の溝の深さが改めて浮き彫りになった。

 緊急輸入制限を発動する要件の緩和など、インドを中心とする途上国が示した国内農業保護の動きを米国が強く牽制(けんせい)したのに対し、途上国は一斉に反発した。

 一方、途上国が要求する米国の農業補助金の削減には、米国が譲歩の姿勢を示さなかった。

 来秋には、米国の中間選挙と、途上国として発言力を持つブラジルの大統領選が予定される。政治的な駆け引きが一段と活発化しかねず、前途は多難だ。

 新ラウンドは、コメなどの農業分野の一層の市場開放を求められる日本にとって厳しい交渉だ。

 農水省は、稲作農家に対する戸別所得補償制度を来年度から始める方針だが、農業の国際競争力を強化し、市場開放にどう対応するのかはあいまいだ。戦略的な通商政策の構築を急ぐべきだろう。

 新ラウンドがもたつく中で、世界で保護貿易措置が次々と導入されていることも懸念される。

 WTOによると、米国による中国製タイヤへの緊急輸入制限措置や、インドの鉄鋼関税引き上げなど、その数は、1年間で52か国・地域に上っている。

 先進国と新興国の金融サミットなどは、保護貿易主義阻止を表明してきた。首脳合意を守り、世界貿易を拡大することが肝要だ。

2009年12月5日01時38分  読売新聞)
東京本社発行の最終版から掲載しています。
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