HTTP/1.0 200 OK Age: 0 Accept-Ranges: bytes Date: Sat, 05 Dec 2009 03:21:46 GMT Content-Length: 7621 Content-Type: text/html Connection: keep-alive Proxy-Connection: keep-alive Server: Zeus/4.3 Last-Modified: Fri, 04 Dec 2009 14:26:39 GMT NIKKEI NET(日経ネット):社説・春秋−日本経済新聞の社説、1面コラムの春秋

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春秋(12/5)

 ペットボトルの飲み物が24本で123円。レトルトカレーは10袋で88円。どんな激安店も仰天する値段だ。ところが最近、あるネット通販のサイトでこんな値付けが独り歩きする珍事が起きた。入力するときに数字を取り違えたらしい。

▼セット売りの商品なのに単品価格を打ち込んでしまったようだ。目ざとく見つけて大量注文した客もいたというから、担当者こそ天を仰いだに違いない。はるかにケタが違うとはいえ、みずほ証券が演じた大失態もやはり一瞬の手元のミスだ。「61万円で1株」の売り注文を「1円で61万株」とやった問題である。

▼誤発注に気づいて取り消そうとしたが、東京証券取引所のシステム不備で非情にも時は流れ、損失は10分間でざっと400億円。責任の所在が争われた訴訟で、きのう東京地裁は東証に7割の過失ありと断じた。異様な売買が膨れ上がっていくのを見過ごした「人的な対応」にも落ち度があったと判決は手厳しい。

▼証券会社の発注ミスがひとえに人の過ちなら、火に油を注いだ取引所にも大いに人的な手抜かりが潜んでいたというわけだ。それに乗じて巨利を得た人々は、かのネット通販でトクをした客の何万倍もの「幸運」を味わったことだろう。デジタル空間を飛び交うカネと情報のなかの人間の重みを、罪の深さを思う。

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