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12月2日付 よみうり寸評

 師走到来。「冬が始まって、ものがうまくなるというのは日本独特の現象ではないのか」獅子文六が〈食味歳時記〉にそう書いている◆文六先生ならずとも、霜が降りると菜類の味が増すというし、寒ブリ、寒ブナが珍重されるのは、冬の寒さとともに魚類も脂がのって味が深くなるからだ◆この季節、ブリの漁期の雷鳴を北陸では〈ブリ起こし〉という。怖い雷も大漁を告げる兆しなら歓迎だ。金沢では今、(かぶら)ずしの漬け込み作業が最盛期を迎えているという。輪切りのカブに切り込みを入れブリを挟み(こうじ)で漬ける◆蕪ずしではカブが主で、冬の魚の王者ブリが従なのだから、ぜいたくな漬物だ。その弟分に大根ずしがある。これはブリではなくニシンを使う◆金沢に住んでいた若いころは、それほどにも思わなかったのだが、年とともに蕪ずしも、大根ずしも、味わい深く、毎年取り寄せては、さすが北陸の冬の味覚としみじみ懐かしく思うようになった◆もともとは家ごとに母から娘へと伝えられた味、それが懐かしい。

2009年12月2日15時08分  読売新聞)
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