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社説2 米のアフガン戦略を支えよ(12/3)

 米国のオバマ大統領がアフガニスタン新戦略を発表した。約3万人の米軍を追加増派する一方で、2011年7月からの米軍撤収を目指す。期限を区切った軍と戦費の集中投入により、早期収拾とアフガン政府への権限移譲を促す戦略である。

 これで泥沼化したアフガン情勢を打開できるかは不透明だが、アルカイダのような国際テロ組織の温床となっているアフガンの混乱を放置すれば、米国のみならず世界の安全に深刻な脅威となる。米政権の決断をひとまず評価すべきだろう。

 米大統領は演説で「軽々しく決断したわけではない」と強調した。オバマ氏の就任時、米軍のアフガン派兵規模は3万2千人。現時点で6万8千人に増えている。今回の増派で約10万人に達する。軍事費も今年は300億ドルがさらに必要になる。

 米国ではアフガン撤退を求める世論も根強い。大統領の支持率は急落している。経済苦境のなかで、膨らむ戦費への反発が大きい。11年夏の撤退開始という出口戦略を示したのは軍事戦略的に誤りだったとの批判もあるだろう。安全保障と世論のはざまでの苦渋の選択といえる。

 参考としたのはブッシュ前政権末期のイラクへの対応だ。短期的な米軍増派で治安をある程度回復し、イラク側への権限移譲を進めた。

 アフガンの場合、イラクと比べても難題が山積している。反政府勢力タリバンや同調する勢力は隣国パキスタンにも広がっており、掃討が難しい。選挙で再選されたとはいえ、不正や汚職が指摘されるカルザイ政権の統治能力にも疑問が残る。

 米国の新戦略が奏功する保証はない。それでも、アフガンの治安回復を通じた国際テロの撲滅は、国際社会の重要な課題だ。結束して米国の新戦略を支えるほか道はない。「出口」に近づけるためには、カルザイ政権に不正や汚職追放を求め、アフガン政府の自立と治安維持能力の強化を促していくことも大切だ。

 日本の貢献も問われる。鳩山政権は総額50億ドルのアフガン民生支援を打ち出しているが、小切手外交との批判もある。来年1月で打ち切る予定のインド洋上での給油活動の再開も含め、米の新戦略を後押しする追加支援策を検討する必要があろう。

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