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春秋(12/2)

 企業が大きくなると、会議が増え意思決定や実行のスピードが遅くなる。制御機器メーカーのオムロンを興した立石一真さんは「大企業病」と名づけた。創業50年目の1982年頃(ごろ)から、しきりにこの言葉を使い社内に危機感を訴えた。

▼当時は欧米が不況。日本も輸出がふるわず設備投資が落ち込んだ。立石電機といっていたオムロンもあおりを受け、83年3月期は経常利益が7期ぶりに減る。立石さんは「業績の低迷は景気のせいなのか」と自問した。在庫は減らず、試作品作りも時間がかかる。社内に目を向け、隠れた問題に気づいたのだろう。

▼現在の日本経済は物価が持続的に下落するデフレに陥り、円高や株安にも見舞われている。企業の経営者が業績悪化の理由に使える材料は多い。が、立石流にならえば自らの社内に潜む問題をあぶりだすことこそ先決。大企業病を治そうと立石さんは、事業部長の権限を強め、形がい化していた常務会を廃止した。

▼立石さんは、メモ用紙のとじ込みを肌身離さず持っていた。社内で気づいたことがあると、その場で書き、担当者に送った。いつ、誰に、どんな内容を連絡したかもちゃんと控えていた。自分の目で問題を発見しようとしたあたりは、いかにも創業者らしい。そうした熱意が、今の経営者にどれだけあるだろうか。

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