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社説2 トヨタを揺さぶる安全問題(11/30)

 安全問題をめぐって、トヨタ自動車が揺れている。今年8月米カリフォルニアで一家4人が亡くなるレクサス車の暴走事故が起きた。車のアクセルペダルが床のマットに引っかかり、踏み込んだままの状態になったのが原因とされる。

 米メディアが大々的に取り上げ、自動車の安全を監督する米運輸省も事態を重視し、車両に欠陥があった可能性を示唆してきた。

 トヨタは11月25日に事故を起こしたレクサス車だけでなく、「カムリ」や「プリウス」など8車種、426万台を対象に、アクセルペダルの交換などの自主的な改善措置を取ることになった。

 「自動車そのものに欠陥はない」というのがトヨタの一貫した立場である。クルマを運転する人がマットを床にきちんと装着していれば、事故は防げたという見解だ。

 だが、誰の責任であれ、事故が起きたのは事実である。報道が繰り返される中で、トヨタ車を運転する多くの人にも不安が広がっていた。大規模な自主改善に踏み切るのは、安全性への信頼性を取り戻すためにも妥当な措置だろう。

 一つ注文するとすれば、8月の事故発生から今回の措置までかなり時間がかかったことだ。

 9月以降クルマの持ち主にマットの取り外しを呼びかけたが、「それだけでは不十分」という指摘が各方面からなされ、今回、改善対象をアクセルペダルなどまでに拡大した。結果からみると、批判を受ける前に、自らの判断でもっと抜本的な措置をとれなかったのか、という疑問も残る。

 トヨタをはじめ日本車が米市場で躍進した背景には、品質への強い信頼があった。中でも「走る、曲がる、止まる」という走行の基本にかかわる信頼性は、安全に直結し、人の命さえ左右する最も重要な領域だ。

 今年前半、米クライスラーとゼネラル・モーターズが相次いで破綻した。一昔前なら日米自動車摩擦が起こりかねない状況だったが、実際には日本車が悪者になることはなかった。米消費者の日本車に対する草の根の支持が大きく広がってきた証しだろう。その信頼を裏切ることがあってはならない。

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