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天声人語

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2009年11月30日(月)付

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 晩秋から初冬、沈む太陽はあかあかと世界を染める。燃え尽きるような落日を見ると、あすまた朝日となって昇ってくるのが奇跡のようだ。落葉に夕日さす11月の人と言葉から▼人類学の泰斗、フランスのレビストロースさんが100歳で他界した。名著『悲しき熱帯』を翻訳した東京外大名誉教授の川田順造さん(75)は「先生の言葉で心にしみているのは『世界は人間なしに始まったし、人間なしにおわるだろう』という一節です」。人間のおごりを静かに戒める言葉である、と▼童謡「ぞうさん」の詩人まど・みちおさんが100歳の誕生日を迎えた。「自分の世界は空間的にも時間的にもごくささやかだけれど、生かしていただいている限り、その中には必ず何か新しいものがあるはずだという考えを持ち続けております」▼自殺したタレント清水由貴子さんの妹、良子(よしこ)さん(42)が『介護うつ お姉ちゃん、なんで死んじゃったの』を出版した。「介護される人と介護者だけでなく、介護者を見守る目が必要だった。私はその目になれなかった」。悔恨をこえて悲劇の防止を願う▼大阪の食文化を発信してきた「ほろよい手帖(てちょう) 月刊たる」が創刊30年に。「うれしくて飲み、悲しくて飲んで生まれる出会いはITには生み出せない」と編集長の高山恵太郎さん(66)▼ミュージカル「屋根の上のヴァイオリン弾き」の残像も鮮烈に森繁久弥さん瞑目(めいもく)。老いてなお「面白い話はないのか」「芝居の仕事はないのか」と言い続けたそうだ。陽(ひ)は昇り、また沈む……。かくて時はゆく。

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