HTTP/1.1 200 OK Date: Sun, 29 Nov 2009 02:16:28 GMT Server: Apache/2 Accept-Ranges: bytes Content-Type: text/html Connection: close Age: 0 東京新聞:筆文字で書いた励ましのメッセージを受け取った男の子は、涙目…:社説・コラム(TOKYO Web)
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【コラム】

筆洗

2009年11月29日

 筆文字で書いた励ましのメッセージを受け取った男の子は、涙目だった。後日、母親から子どもを虐待していたと明かすメールが届く。「あの子の涙を見てやめることを約束します」と書かれていた▼二〇〇四年から週末、高知市内の繁華街で「はまじ」のニックネームで即興の詩をつくっている浜崎一途さん(26)から聞いたエピソードだ。これまで延べ四千人以上に詩を書いてきた▼小学校から高校まで児童養護施設で過ごした。恩返しをしたいと、始めたのが「路上詩人」の活動だ。商品の収益から、県内六つの施設にそれぞれ十万円分の書籍やスポーツ用品などのプレゼントを続けている▼浜崎さんは、同じ境遇の子どもたちに夢をかなえる方法を語りかけている。夢を大きく描き、人に語ろう。そして、実際に動いていこう。自身も三十歳までに起業する夢を語っている▼社会に役立つ寄付活動をした人を表彰する「まちかどのフィランソロピスト賞」(一般部門)に選ばれ、施設の子どもを球場に招くなどの社会貢献をしてきたプロ野球・楽天の岩隈久志投手(特別賞)らとともにあす、東京都内での贈呈式に臨む▼幼い自分を捨てた母親をずっと憎んできたが、路上での出会いを重ねる中で暗い感情は消えていった。面と向かってありがとうと言える自信はないが、この世に生を授けてくれた母親に感謝している。

 

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