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社説2 米中のCO2削減は不十分(11/29)

 温暖化対策で米国と中国が動いた。12月にコペンハーゲンで開く、国連の気候変動枠組み条約締約国会議(COP15)で提案する削減目標をそれぞれ公表した。

 米国は、2020年までに05年に比べて17%削減する。中国は、国内総生産(GDP)を一定額生み出すために排出する二酸化炭素を、20年までに05年比で40〜45%少なくし、排出を抑制する。

 米中は、世界の温暖化ガスの4割を出す二大排出国だが、温暖化防止を目指す国際的な約束である京都議定書では削減義務を負っていない。両国の提案は、京都議定書を引き継ぐ新たな国際制度づくりを前進させるものと評価したい。

 ただ、両国の目標がこれで十分だとは言えない。

 米国の目標は1990年比では、3%削減にとどまり、日本の中期目標である90年比25%減、欧州連合の同20〜30%減に比べて、小さい。

 20年に17%の削減は、国内の排出量取引制度を設けることで、工場や発電所で確実に減らせる量にすぎない。日本でいえば、主に産業部門の削減に相当する。自動車燃費の改善や森林保護の効果などは入らない。削減の積み増し余地を残す。

 米議会で、17%削減目標に法的な裏付けを与える温暖化対策法案の審議が難航している。法案に示した以上の数値を行政府は口にできない。オバマ米大統領はコペンハーゲンを訪れるが、首脳級交渉には参加しない。温暖化防止への意欲を示しつつも、議会を刺激せぬよう「安全運転」の慎重さを見せる。

 中国の提案では、経済成長に伴い総排出量は増え続ける。エネルギー効率改善の国内目標(06〜10年で20%改善)を大きく上回る点は評価するが、改善余地は大きい。経済の低炭素化は、輸入原油に頼る中国自身にも望ましいはずだ。

 当面は効率改善を目標にしつつ、20年以降には総排出量が減少に転じる見通しも併せて示すことを中国政府には求めたい。

 米中の息を合わせた発表を、日本政府は交渉前進と受け取るだけでは困る。二大国主導が見え隠れするなか、国益をしっかり見据えて、交渉に臨んでほしい。

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