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米トヨタ車改修 品質と安全性総点検の契機に(11月27日付・読売社説)

 トヨタ自動車が、米国で販売した車の暴走事故の再発を防ぐため、過去最大規模の自主改修に踏み切ることを決めた。

 今年8月、カリフォルニアで一家4人が死亡する交通事故が起きた。踏み込んだアクセルペダルがフロアマットに引っかかって戻らず、スピードが落ちなかったのが原因だった。

 トヨタはこの事故を受け、「プリウス」「カムリ」など8車種を対象に、フロアマットやアクセルペダルを交換する。改修対象は430万台と、トヨタの米国の年間販売台数の2倍近くに達し、数百億円の費用がかかるという。

 「高品質で安全」というブランドイメージを守るため、ユーザーの不安を早めに取り除くことが最重要と判断したのだろう。二度と悲惨な事故を繰り返さぬよう、安全対策に万全を期してほしい。

 問題となった事故について、トヨタは「フロアマットを適切に敷いていれば防げた。車両に欠陥はない」と主張してきた。

 だが、米運輸当局は車両にも問題があった可能性を指摘し、リコール(無償の回収・修理)などの抜本対策を求めていた。

 改修は、米運輸当局の意向も踏まえ、部品の交換も含む本格的なものだ。車両の欠陥はないとしながらトヨタが大規模な改修に踏み切る背景には、トヨタ車への信頼の揺らぎもある。

 米国の民間団体が選ぶ「2010年の最も安全な車」27車種に、トヨタ車は1車種も選ばれなかった。韓国車などの品質向上で、トヨタをはじめとする日本車の優位性は急速に縮小している。

 今回の改修を早期に完了し、消費者の信頼回復に全力を挙げなければなるまい。環境技術や生産効率を重視するあまり、安全性に思わぬ落とし穴はないか、もう一度総点検することも重要だろう。

 改修の対象となる8車種のうち4車種は、日本でも販売されている。トヨタは「問題となったフロアマットは日本では使われていない」として、日欧などでは改修は見送る方針だ。

 だが、日本にも不安を感じているユーザーがいるはずだ。米国の事故の原因や対策を、日本のユーザーにきちんと説明することが必要だろう。

 米国の改修では、アクセルが戻らない緊急時にブレーキを踏めば、ブレーキを優先する機能が一部車種に追加される。同様の機能はドイツ車ではすでに一般的だ。日本で発売される新型車にも、早期の採用を検討してはどうか。

2009年11月27日01時33分  読売新聞)
東京本社発行の最終版から掲載しています。
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