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11月27日付 編集手帳

 東京で板前をしている三郎(萩原健一)が、郷里の母親に手紙を書いている。ボーナスから三万円を送ります――書きかけて、しばし思案に沈み、決然と「三」に縦棒2本を足して「五」に増額した…◆往年の人気テレビドラマ『前略おふくろ様』のひとこまである。30年も昔に放送された一場面が記憶に残っているのは、ほどなくして社会に出て、同じ思案を経験したせいかも知れない◆金融危機の余燼(よじん)にデフレと円高が重なり、冬のボーナスは業種を問わず、どこも厳しいという。母の顔を思い浮かべつつ明細を(にら)んでは、心のなかで「三」に縦棒を足したり消したりしている方もあろう◆そうかと思えば、母親に送るどころか逆に、母親から多額のお金をもらい、「私の知らないところで何が行われていたのか」と、ひとごとのように語る息子もいる。ポケットに紛れ込んだ10円玉ではあるまいし、5年間で9億円の入金に、どうすれば気づかずにいられるのだろう◆「三」万円の縦棒に悩んだ三郎君から見れば夢のような、というべきか、(うそ)のような、というべきか。息子もいろいろ、世間は広いものである。

2009年11月27日01時33分  読売新聞)
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